投資や副業など、もうけ話の情報の買い手を勧誘することで利益が得られるとうたう「モノなしマルチ商法」の被害が若者の間に広がっています。大阪府警は24日、暗号資産(仮想通貨)の投資で違法な勧誘をしたとして、特定商取引法違反(不実の告知など)の疑いで、男女9人を逮捕しました。約140万円を投じたという大学生が取材に応じました。
大阪市の男性(21)はコロナ禍まっただ中の2021年春、大阪府内の工業系の大学に入学した。だが、オンライン授業ばかりでキャンパスに通う機会はわずか。対面授業が徐々に再開したのは、秋ごろだった。
その頃、ようやく初めての友人ができた。食堂で一緒に昼食を食べたり、課題の論文を添削し合ったり。たわいもない日常だったが、「新しい環境で心を許せる友達が1人できて、楽しく過ごせそうだと思った」。
昨年6月、その友人から「ロボットの展示会を見に行こう」と誘われた。
市内中心部の会場に行くと、友人は「会わせたい人がいる」と言った。向かった先は近くのタワーマンション。戸惑いながら理由を尋ねると、友人はこう繰り返した。
「いいから、いいから」
上層階の一室に入ると、同い年くらいの男が待っていた。ラフなTシャツ姿だが、部屋には外国製とみられる高級腕時計がいくつも飾られていた。大型テレビや金色に輝くミニカーも目に付いた。
男は向き合うと、矢継ぎ早に語り始めた。
友人の態度が急変
「マーケットピーク」という…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル